
「サーバーを借りてWEBサイトを作ってみたものの、サーバーの利用可能な容量が大きすぎてもったいない」「新しく別ジャンルのサイトを作りたい」といった要望を抱いている人がいるかもしれません。今回は、そういった要望に応えるために複数サイトを作る方法や、複数サイトを運用することで起きるであろうメリット・デメリットについて、詳しく解説します。
レンタルサーバーで複数サイトを持つことはできるの?
一つのレンタルサーバーで複数サイトを持てるかどうかは、そのサーバーの利用規約や制限によって決まります。レンタルサーバーの提供するプランによって異なる、ということもあり得るので契約時点でチェックをしておくと、後から慌てずに済むでしょう。
チェックポイントは「マルチドメイン(複数ドメイン)対応」という項目の可否です。可であれば複数サイトを持つことができ、不可であればできないと言えます。見てもよく分からないという場合は、レンタルサーバーの「よくある質問」などを確認すると良いでしょう。
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マルチドメインって一体なに?
そもそも「ドメイン」とは、IPネットワーク上に存在するコンピューター等を識別するための名称で、例えるならば「インターネットの中における住所」のようなものです。WEBサイトには必ず固有のドメイン名が割り当てられており、それは必ず一意(世界中の誰とも重複しない)ように管理されています。
WEBサイトを作ってインターネット上で公開するためには、WEBサイトを構成するデータを処理できるサーバーと、そのデータに割り当てるドメインの両方が必要です。そして「一つサーバーが複数のドメインを持つこと(複数のドメインを割り当てること)」を「マルチ(複数)ドメイン」と言うのです。
マルチドメイン非対応だと複数サイトは持てないの?
マルチドメインに対応しているかどうかは、先に説明した通り、そのレンタルサーバーの対応状況によって異なります。ただ、マルチドメインが非対応だから複数サイトを持てない、とは限りません。「サブドメイン」が利用可能であれば、複数サイトを持つことができます。
「サブドメイン」とは、一つのドメインを細分化させて作るドメインのことを意味します。具体的には、ドメイン名の前の任意の文字列を追加することで、元のドメイン(親ドメイン・トップドメイン)とは別個の、新しいドメイン(サブドメイン)として認識させることができるのです。
例えば、hogehoge.comというドメインを所有していて、ブログ専用サイトのためにサブドメインを作ったとします。・親ドメインhogehoge.com・サブドメインblog.hogehoge.comという形で二つのドメインが生まれ、それぞれをサイトに割り当てることができます。また、更に前述の二つとは独立したレシピ専用サイトを作ろうと思ったら、
・サブドメイン2 recipe.hogehoge.comというサブドメインを追加することで、三つ目のサイトを作ることができます。このように、マルチドメインが使えなくても、サブドメインによってレンタルサーバーが許容する範囲で作り出すことが可能です。
ただし、全てのサイトにおいて「〇〇.hogehoge.com」という並びになるため、サイト自体は独立して運営していても、「hogehoge.com」の関連サイトであることは一目瞭然になってしまいます。また、親ドメインの契約が切れたり廃止したりすると、サブドメインも全て消えてしまいます。
一つのサーバーで複数サイトを持つメリット
一つのサーバーで複数サイトを持つことによるメリットは、主に二つあります。第一に、費用・時間の両面でコストカットをはかることができます。サーバーの管理パネルなどは契約するサーバーごとにログインパスなどが異なるため、サイトごとにサーバーが異なると、出たり入ったりの作業が発生し、手間やミスの原因になりかねません。
また、レンタルサーバーやドメインを契約していると、定期的に契約更新や支払い手続きが発生しますが、契約数が多ければ多いほど、更新や管理が複雑になってしまいがちです。万が一、手続きを忘れてしまって契約期限を超過し、サイトが消失してしまうという大きなデメリットも回避できます。
第二に、契約するサーバーの容量にもよりますが、一般的なWEBサイトではレンタルサーバーの容量を全て使い切ることは難しいものです。
50GBのレンタルサーバーを三つ借りて、それぞれ5GBのサイトを構築するのではなく、レンタルサーバーを一台借りて、合計15GBのサイト三つを構築すれば、レンタルサーバー二台分の費用が削減できます。
一つのサーバーで複数サイトを持つデメリット
反対に、マルチドメインやサブドメインによって、一つのサーバーに複数サイトを持つことによるデメリットもあります。第一に、契約しているサーバーにシステム障害やトラブルが発生した場合、全てのサイトが一括でダウンしてしまう可能性があります。
滅多にないケースではありますが、レンタルサーバー側のバックアップが正常に取得できておらず、復旧できない可能性もゼロではありません。こういったトラブルを防ぐために、サーバーとは別の場所にバックアップとる運用をなるべく導入しておきましょう。
第二に、容量が少な目のレンタルサーバーで複数サイトを運営していた時に、容量が足りなくなってしまう可能性があります。メリットの項目では「使い切ることは難しい」と解説しましたが、レンタルサーバーによっては「月額の費用が低価格な分、サーバーの容量も少ない」という趣旨のプランもあります。
画像や映像などの大容量のデータを扱うようなサイトを構築する場合は、サーバーの容量をよく考慮して、場合によってはサイトごとにサーバーを契約することを検討した方が安心です。第三に、マルチドメインなどができたとしても、その他の機能に制限が発生する可能性があります。
例えば、「マルチドメインはできるものの、Wordpressに必要なMySQLが一つしか作れなかった」や「トップドメインにはSSL設定(暗号化によってセキュリティ強度を高める仕組み)ができるが、サブドメインには設定できない」といったケースがあり得るでしょう。
一般的なレンタルサーバーでは、月額利用料等が安いほど制限は多い傾向にあるので、事前によくチェックしておきましょう。
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一つのレンタルサーバーで複数サイトを運用してみよう!
一般的なレンタルサーバーにおいては、一つのサーバーに複数サイトを持つことが可能です。本格的なサイトの運営はもちろん、非公開のテスト用サイトなどを所有している人も珍しくありません。
まずは契約している・契約予定のレンタルサーバーの仕様を確認してみて、サブディレクトリやマルチドメインのどちらが良いか、検討してみるのはいかがでしょうか。